TETSU JUKU

塾業界や教育業界の問題に迫ります。

六等星の医師の話(再掲)

本日も再掲です。約1年ほど前の記事です。

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 手塚治虫の傑作「ブラックジャック」に『六等星』という物語がある。大きな病院に勤めるベテランの外科医だが、非常に地味で全く目立たない存在なのである。実際、外科医としての仕事も自身が手術を執刀するのではなく他の医師の助手ばかりをしているのである。周りからも、うだつの上がらないベテランという認識で相手にされていない。古臭い言い方だと「窓際」だろう。まさに六等星なのである。

 ある日、その病院で院長が亡くなる。次の院長の座を狙っている実力のある二人の医師が、院長選の資金として病院の金を横領してしまう。すぐに発覚し逮捕されるというトンデモない事件が起こる。病院の看板となる実力のある医師がいなくなり、病院は大ピンチ。そんな時に重病の急患が入るが誰も手術ができない。そこで、この影の薄いベテランの医師が登場する。そして、難易度の高い手術をやってのける。見事な手術をするのだ。長年の下働きで基本的なスキルを鍛えていたのだ。周囲の人の見る目が変わる。これほど目立たない地味な人がたいへん高いスキルを持っていることに驚くのだ。真面目にコツコツやっている人の実力の高さには半端ではない。

 どこの世界にもこういう凄い力や高いスキルを持っているのに目立たない人はいる。目立たないどころか全く評価されないことも珍しくない。実社会ではチャンスをつかむこともなく人生を終える者が圧倒的だろう。そんなもんである。でも、この医師にはチャンスが巡って来た。そしてそのチャンスを活かすスキルがあった。大事なのはここだ。チャンスを活かすスキルがあるということ。スキルがあるから挑戦ができたのだ。長年の目立たない地味な仕事を通して高いスキルを身につけたのだ。こんなかっこいい人はいない。漫画だけどこういう人が一番信頼できるし尊敬できる。

 さて、この物語ほど教育的示唆に富むものもない。ということで、先日の総合の授業で小6の生徒にこの物語のアニメを見せてやった。そして感想を書いてもらった。小6なので見方が浅いのは仕方ないが、感触は良かったようだ。しばらくしてまたこの作品を見るなり、読むなりして欲しい。きっと生き方がわかるだろう。

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