TETSU JUKU

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子供に読んで欲しいブラックジャック「笑い上戸」

 友達はほぼいないブラックジャックだが物語中何人かの友達が現れる。「ゲラ」もその一人だ。ゲラはもちろんあだ名だが、そのあだ名通り笑い上戸なのである。とんでもなく陽気な性格で人気者だ。ブラックジャックとは正反対の性格である。しかし、ゲラにも陰の部分がある。実は、借金をした両親はゲラを捨てて夜逃げしていたのだ。そして、頻繁にサラ金の取り立てがやってくる。そういうどん底の悲惨な生活をおくっていた。それを知ってからブラックジャックはゲラと接近する。母は死に父が蒸発したブラックジャックにとっては同じような境遇だ。そんな厳しい状況下でも笑いまくっているゲラにブラックジャックはひきつけらられたのだ。気が付けば友達になっていた。

 ある日、ゲラは怪我を負う。喉をダーツで刺されて大怪我を負うのだ。命には別条ないが、傷は良くならず地方の病院へ送られてしまう。ダーツはブラックジャックの持ち物だった。もちろん刺したのは別の人物だが自分のダーツで大怪我をしたことにブラックジャックはたいへん責任を感じる。

 

 そして、年月が経ちブラックジャックは医者になる。ずっと責任を感じていたブラックジャックはゲラを探しだす。久しぶりに会ったゲラはひどく痩せ細っている。すぐに呼吸困難をおこすので話すことさえほぼできない。笑うことなんてとんでもない。そんな状況で寝たきりだった。もう一度笑えるようにするために、すぐに手術にかかるブラックジャック。手術は成功した。しかし、手術後二次感染をおこしショック死をする。ゲラの最期は大笑いだった。病院中に笑い声が響いた。鳥のさえずりさえ中断するほどの豪快な笑いだった。大笑いした後静かに息を引き取った。連絡を受けたブラックジャックは大きく肩を落とす。

 

 さて、ゲラは幸せだったのだろうか…。最期に笑えたことはよかったが…死んでしまってはダメだ。しかし、手術をしなければしゃべることさえできず寝たきりだった…。

 ブラックジャックの気持ちはどうだろう…彼の心境も複雑だし苦しいだろう。「もう一度笑えるように」ということは病院を去りまともな生活を送れるようにしてやるということだ。そして、自分のダーツで怪我をしてしまったことに対するお詫びでもあった。なんと苦しい状況だろう…

 人生は簡単ではないし、どうなるか分からない。予想できないことがどんどん起こる。自分の思い通りにならないことも多い。生きるとはどういうことなのか、幸せとは何か、人と人との関係は…。この「笑い上戸」はいろいろなことを考えさせてくれる名作だ。

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