TETSU JUKU

塾業界や教育業界の問題に迫ります。

歴史は人生をかけて学べ

 歴史は人生かけて学んでほしい。いや人生かけても学びきれない。歴史ってそれだけ膨大だし、深いし、幅も広い。僕らが学校や塾で習っている歴史なんてのは、ほんの一瞬のことだし、一つまみ程度の内容だ。だからよく分からないし、面白くもない。100年くらいのことを1時間かけて勉強するんだから、無理もない。そんな勉強は本当はつまらないんだけど、学生時代はがんばって覚える。結果、高得点が取れ面白いように思う。でも、大きな勘違いをしているに過ぎない。歴史の本当の面白さなんて何も分かっていないんだ。僕も覚えるのは得意な方だったからちょっと覚えているからといって、随分と長い間勘違いしていた。

 30歳過ぎのある日、映画「ラストエンペラー」を見た。清朝の皇帝溥儀の人生を描いたもので、公開当時は相当な話題となった。僕が見たときは公開から15年ほどは警戒していただろう。さて、この映画が驚く程面白かったのだ。歴史の授業では一瞬でしか扱わない内容が克明に描かれていた。もちろん、映画だから過剰な演出もあるし、史実とは違うことろもあるだろう。そんなことは承知である。でも、最高にエキサイティングな内容だったのだ。「これが歴史か」この日からもう一度歴史を勉強しようと思った。緩く長い歴史の勉強が始まった。まずは教科書レベルを確認して、様々な本を読んだ。学者の本も学者以外の作家が書いた本も読んだ。どちらの観点も面白い。そして、ある日、歴史は政治史ばかりではないことに気づいた。生活史も文化史もあるのだ。学校で学習するのは政治史が中心だ。いや、ほぼ政治史だけと言ってもいい。これぞ歴史の面白さではないかと思った。特に食文化は面白い。もちろん、映画やドラマは想像力が及ばない部分を大いに助けてくれるから、いろいろ見た。

 この10年くらいの間、僕は古代史を勉強している。最近は縄文時代あたりに興味が移ってきたがこれもなかなか面白い。知れば知るほど謎が深まり想像力も膨らむ。歴史の勉強は終わりのない旅なのだ。こんな贅沢な趣味はない。歳を重ねるたびにその思いは強くなってくる。歴史の勉強を通して世の中も見えるようになったし、人間関係さえ歴史が教えてくれる。当然人の気持ちにさえ触れることも十分可能だ。だから、歴史の勉強は大切にして欲しい。学校を出てからじっくりと歴史の勉強をして欲しい。自分のペースでいい。自分の好きな時代でいい。これほどの学びはないと思う。でも、中高の歴史の先生はそんなこと一つも教えてくれなかった。

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