TETSU JUKU

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偏差値29から東大に合格ってどうなん?

 ネットをいろいろ見ていると「偏差値29から東大合格」という文字が目に飛び込んできたのでが、見てみると随分と前の本のようですね。さて、少し前にも「ビリギャル」が話題になりましたが、こういうタイトルを見ると、一瞬、「ぼくも頑張ろう」「私もできるかな」と前向きになるものです。しかし、冷静に考えて、偏差値に29で東大に合格することができるのでしょうか…。騙されてはいけません。これはおかしいですよね。

 

 そこで考えなければならないのが偏差値です。

 簡潔に言いますと、平均点と同じ点数を取れば偏差値は50となります。ですから、50以上か以下かでヤバいかそうでないかがわかるわけですよ。そして、偏差値60を超えれば優秀ですし、逆に40を切ると通知表には2が並びます。この本のタイトルは偏差値29ですからほとんど最下位と言えるわけです。

 次に目を向けたいのが、この偏差値はいつのどの試験における偏差値かということです。テストの難易度や受験者の学力によって偏差値の意味は違ってきます。例えば日本中の生徒が受ける実力テストで偏差値が40であれば、学力は相当低いということになりますが、東大などの上位大学しか受けない生徒たちだけ受ける模試で偏差値が40でも一般的には相当なレベルですよ。そして、高3の偏差値が29であっても、その高校が進学校であれば、小学生や中学生の時は優秀だったわけですよ。十分基礎学力はあると言えるのです。しかし、小学生の時の偏差値が29だとどうでしょうか。基礎力は大問題で、何もわかっていないと言えます。

 したがって、「偏差値29から東大合格…」という文字を見て、「すごいなあ」と思う前に、上記のことを考えないといけないのですよ。調べてみるとこの本の著者の学校は6年一貫の私学でした。トップレベルではないにせよ、やはり進学校です。基礎学力は十分にあると言えるわけです。そうなると、条件や環境が整えば十分現実的な話ですし、奇跡が起きたような話でもないのです。そりゃ、東大ですから、それなりに苦労はしますけどね。小学生の時の偏差値が29であれば、東大などあり得ないですね。

 偏差値というのはそういうものですから、本のタイトルや記事の見出しには注意したいものです。こういう本のタイトルは作家が付けるのでなく出版社が付けるようですね。よりひきつける強烈なメッセージとなるように出版社がタイトルを決めているのですよ。ですから、こういうタイトルがついていると、その作家が非難されることもあると思いますが、作家だけが悪いということでもありません。

 

 ちなみに、「ビリギャル」は本を買いましが、途中で(半分くらいで)読むのをやめました。しかし、映画の方は見ました。映画の方は面白かったですね。ビリギャルの主人公も進学校に通っていましたから、ある程度の理解力や基礎学力があるのですよ。ですから、同じことなのが言えるのです。しかし、まあ、そんなことよりも頑張って志望校に合格していく様子はよかったですよね。先生もまっすぐに向かい合って、一緒に勉強している様子は素晴らしかったです。映画になった時点で嘘か本当かはどうでもよく、作品を見ることで少しでも元気ややる気が出ればいいじゃないですか。エンターテインメントですからね。そういうもんです。

 

 

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