TETSU JUKU

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(再掲)子どもに読んで欲しいブラックジャックの名エピソード

過去記事です。

 

 ブラックジャックは幼くして事故で母を亡くしている。最も母が恋しい頃に母と死別しているのだ。だから人一倍母に対する思いも強く、母を粗末にするうような人を許さない。そんな母を大事に思うブラックジャックの気持ちが存分に伝わるエピソードが「もらい水」だ。母とは何か、親子とは何かを考えさせる名作だ。

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 どこにでもある小さな町医者。夫婦で営んでいる胃腸科の病院。その病院に夫婦と夫の母も住んでいるんだが、その母は病室の一つで生活をしている。(このあたりは漫画の設定だから気にしない方がいい)しかし、問題は意外にこの小さい医院は繁盛していて、すぐに病室がいっぱいになる。そして、急患が来ると病室の一室で暮らす母は一時的に出ていかなくてはならない。いくらかのお金を母に渡し、よそで泊まってもらうように頼んでいるのだ。いっそのこと老人ホームへの入所を提案を妻がするのだが、夫の方は金がかかると却下する。残念なことにこの夫婦にとってはこの母の存在が邪魔なのである。

 ある日、急患が訪れ母は出ていくはめになった。知り合いや友人宅にとめてもらおうと出かけたが、どこも泊めてくれない。どうやら、こんなことは頻繁にあるようで、この母は嫌われているようだ。当てもなくさまようところでブラックジャックと出会う。車に乗せてあげて事情を伺うが、この母は息子のためだから平気だという。そして、峠の山小屋に泊まることにした。そこでブラックジャックと分かれる。しばらくすると大地震が発生。ブラックジャックはその母が宿泊している山小屋へ急ぐ、すると山小屋は倒壊しこの母は虫の息だ。車で近くの病院へ運んだが、満床だからと言って断ろうとする。しかし、その母が運ばれたのは息子の病院だ。母の姿を見て驚く息子がすぐに治療をしようとする。しかし、ブラックジャックは母を渡さない。母を粗末にしたこの医者に怒り心頭なのだ。息子が母を渡すようにブラックジャックに要求すると、ブラックジャック「一千万円でゆずりましょう」と言う。その発言に激怒する息子の医者だが、更にブラックジャック「私なら母親の値段は百億円つけたって安いもんだがね」と言って、この物語は終わる。

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 百億円でも安いとは言うまでもなく値段が付けられないということ。まさにプライスレス、たいへん尊いということだ。親を大事にしなくてはいけないのはなんとなくは分かっている。しかし、このような極限の状況が日常生活にあるわけもなく当たり前のように存在している母に子供は特に何も感じていない。私も子供の頃はそうだった。しかし、この作品を読んだとき(当時は小5くらいだったけど)母とは何か、母の大切さというものを子供なりに考えたものだ。昔とは違って親孝行の大切さを説く場面の減っているような気がするし、そういう物語も減った。だからというわけもないが、是非、子供にはこの作品を読んでもらいたいと思う。私はこの最後のセリフ(百億円…)に驚いたことをいまだに忘れない。

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