TETSU JUKU

塾業界や教育業界の問題に迫ります。

先生なら自分の言葉で伝えるべきでは

 最近、この時期に話題になるのが黒板アートと言われるもの。卒業式の日に先生が生徒たちに向けて黒板に絵を描くというやつです。ツイッターにはよく出てくるのですが、それはそれは素晴らしい画力の絵が描かれているのですよ。ワンピースやジブリのよな版権もののキャラクターをよく見かけますね。黒板いっぱいにあれだけの絵を描けるとは相当な腕前です。時間も相当掛かっていると思いますが、先生の思いが伝わってきますね。生徒も嬉しいでしょう。記念すべき日に驚異的に上手な絵が贈られるのですから。きっと忘れないでしょうね。

 しかし、気になることがいくつかあります。確かに絵は素晴らしいのですが、その絵で何を伝えたのかということです。卒業する日には普通先生はメッセージを伝えるものです。いわゆるはなむけの言葉ですよ。「こんな人になって欲しい…」「苦しくてもへこたれずに頑張るんだぞ...」こんな思いを語るのが先生だと思うのですよ。これからの人生で必要なことをきっちりと伝えて、生徒が立派に成長できる言葉、生徒がしっかりと活躍できる言葉を贈るのが先生だと思うのです。そして、生徒はその言葉をどこかで思い出し。「よし、頑張ろう」「そうだ、こうするんだ」と先生の顔を思い出すのですよ。人生の要所でその先生の言葉を思い出し、自分に言い聞かせて頑張り続ける。それが理想なのですよ。先生が黒板に描いたイラストがきっちりと語っていればいいですが、版権ものキャラクターが、先生の熱いメッセージを代わりに伝えてくれるのでしょうか…。もちろん、イラストはおまけできっちりと先生が言葉を贈っているのであればいいですよ。イラストはおまけで、思い出の一つとして別に構いません。

 でも、勘違いもあるようですね。美しい絵を描く先生がいい先生と思われるようなところがあるようです。確かに悪い先生ではありませんが、描かなかった先生はどうなんでしょうかね。下手すると比較されてダメな先生扱いをされているかもしれません。また、担当する生徒から残念に思われているかもしれません。保護者がそんなふうに思っているとつらいですよね。その保護者こそが残念です。ついったに上げられた絵にも、「素晴らしい先生だ」や「こんな先生に習いたかった」などとというコメントが付いており、たいへんな勘違いがあると感じました。

 先生なら自分の言葉でメッセージを伝えて欲しいですし、しっかりと教えてきたのなら、絵でなくて生徒に伝えたいことがたくさんあるもんですよ。言葉はずっと残ります。力のある言葉はずっと人を支え励ますことができるのですよ。そんな言葉を贈りたいですよね。私は毎年生徒にメッセージを贈っています。言いたいことがたくさんあっていつも時間が足りないほどです。

 

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