TETSU JUKU

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2020年の奈良県公立高校入試について

 2019年公立高校入試も混迷を極め、進路指導は本当に困ったのだが、2020年も非常に難しい状況にある。このまま予定通りいくと、平城高校と登美ヶ丘高校の募集はない。西ノ京高校の募集が最後となります。そして新たに国際高校の募集が始まる。国際高校は既存の高校の名前を変えたものではなく全くの別学校。普通科ではなく国際科であるから、全然違う学校となる。表向きは平城高校と登美ヶ丘高校を統合し新たな高校が生まれたことになるのだが、生まれる高校が「普通科」ではなく「国際科」なのである。国際科は普通科とは異なる。もちろん共通の部分もあるが根本的に違うのである。ということは、本来の登美ヶ丘高校や平城高校の志望者がそのまま新規の国際高校に流れるということは考えにくい。むしろ敬遠される可能性がある。だから、高校が一校減ったのではなく普通科が二校減ったと取るべきなのである。

 さて、受験者はどう動くだろうか…正直なところ読めない。昨年度も予想外の展開になったし、予想通りに事は運ぶほど簡単なものではない。生徒の希望に加えて中学校の進路指導も影響するから尚わからない。しかし、分からばいとも言ってられないので、分からになりに予想をしてみる。

 

①従来の平城高校を受験する層

 上位はかなり優秀なので郡山高校(一部は畝傍や奈良も)に流れる。

 中位以下は奈良北高校と一条に分かれるだろう。

 

これにより奈良北高校は壊滅的な人気が少しまともになると思われるし、一条は相当な数の生徒が集まりたいへん競争倍率は上がるだろう。

もちろん国際高校を目指す生徒もいるだろうが、英語を学習したい生徒は一条高校の外国語科コースもあるので、なんとも言えない。

 

②従来の登美ヶ丘高校を受験する層

 よくわからないまま国際高校を志望する生徒と、生駒高校や西ノ京高校を受ける生徒に分かれる思われる。よって生駒高校の倍率上昇は避けられないし、西ノ京高校の募集も最後になるが、意外に集まるかもしれない。そして、この学力層で考えられるのは私学へ流れること。以前からこのクラスの受験者の考えかたとして大学入試を視野に入れ私立を受ける層は多い。それが例年より加速する可能性は十分ある。昨年度の入試でも同傾向があった。

 

③国際高校

 国際という言葉は響きがいいのだが、既存の国際高校(高取国際・法隆寺国際)が大成功をしているわけでもないので、それほどの期待感はない。もちろん英語学習は大事だがその気になれば英語程学習しやすい教科はないので国際高校でなくても大丈夫だと思っている。何よりも普通に大学進学を考えるのならやはり普通科の方が良い。わざわざ国際高校を選んで日本の大学から遠ざかるのももったいない。

 しかし、新しい国際高校の魅力は国際教育資格となる「バカロレア」である。現在、このバカロレアが世界的に非常に価値のあるものとして評価されているのである。従って海外の大学に入りたい生徒や留学を希望する生徒、将来海外で活躍することを目標にしている生徒にはたいへん価値があるようなのである。高校の時から国際感覚を身に着けたい生徒にとってもいいだろう。日本でのバカロレア認定校はまだ少なくわずか38校である。希少価値は十分にある。

 しかし、奈良の人間は保守的だし(北部はまだましだが)新しいものに飛びつくようなところは少ない。どれだけ素晴らしいといわれても「国際バカロレア」の知名度もあまりにも低く、魅力的には映らない。もっときっちりと広報活動をしなければだめだろう。

 というわけで、普通に予想すると、国際高校の人気はそれほど高くなるようではないし、定員が割れる可能性も十分にありうる。受験者の偏差値も60は超えない。55前後程度ではないかと思っている。(この辺は勘です)

 しかし、この国際教育とか国際感覚って何なんだろう…日本のことをほとんど知らないで国際も何もないんだが、うわべだけの心地よい響きの言葉に惑わされてはいけない。

 

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