TETSU JUKU

塾業界や教育業界の問題に迫ります。

塾の夏期合宿について

 夏休みには多くの塾で合宿が行われる。合宿の是非についてはいろいろな意見があるだろう。一番の問題は費用と費用対効果。夏休みは普通授業時間が増えるので授業料は上がる。さらに、合宿となると追加費用がかさむ。3万円程度ならまだしも6万円も7万円もかかれば、保護者としては「ちょっと待ってくれ」というのが普通の反応である。もちろん、その合宿で偏差値が5でもアップすれば保護者も惜しまない。十分な費用対効果があれば他で節約をしてでもその費用を捻出しようとするだろう。しかし、たかが3日4日程度で偏差値が5上がるほど受験勉強は甘くない。実際は弱点単元を一つでも克服できれば儲けものだろう。これは生徒の学力にもよるし、合宿の進め方にもよるし、合宿の運営の仕方によっても大きく結果は異なるのだが、それほどの費用対効果は期待できない。

 

 

 合宿の進め方にはいろいろある。朝から寝るまでひたすら授業やテストをするパターン。そして、ひたすら自習と質問を繰り返すパターン。その二つの間をとるようなパターンもあるだろう。どのやり方がベストかは正直なところ断定はできない。成績が中位以上の集団であれば授業よりも自習の方がよい。長い時間を自分で考えて弱点に取り組むのである。もちろんわからないことは先生に尋ねればいい。授業を受けることはいつも塾でやっている。しかし、長時間自分のペースで自分の弱点を克服するための勉強など普通はできない。やっても数時間が限界。数時間は単元の克服は無理だ。数問を解けるようになるのが関の山なのである。だから、せっかく合宿だから普段できないことに挑戦する方がよい。それで達成できたことは経験値として残り、何より自信となる。後々の受験勉強を牽引する大きな原動力となるのである。

 

 しかし、中学生は幼い。長時間の自学に耐えることができるほど精神は強健ではない。何度もくじけそうになるし、迷いもする。だから、先生は生徒の気持ちを十分に鼓舞しないといけない。方法や方向を示すのはもちろん、気持ちを支えてやらないといけない。それをできる力量のある先生がいないとこの形式は成り立たない。だからこの形式で合宿ができる塾は教師のレベルは相当高いと言える。

 

 そして、合宿を成功させるもう一つの大事なことは食事だろう。食事にどれだけ配慮できるかが合宿の全てを決めるといってもよいくらいである。誰がなんと言おうと、他の何よりも食事は大事なのである。勉強や仕事の後で「旨いものが食べられる」と思うだけでやる気も集中力も上がる。そんなもんである。また、それが健全であると思う。だから、食事をけちるような合宿はダメ。何もわかっていなし、金もうけが目的で合宿をやっているとしか思えない。

 ということで、私は自習型の合宿以外はそれほど効果がないという認識である。もちろん、偏差値が50を切る生徒であれば授業は必要。それでも、「授業+自学」の形式でないとダメだと思っている。一日中授業を受けるようなやり方では合宿の効果は半分以下だと思う。 

 

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