TETSU JUKU

塾業界や教育業界の問題に迫ります。

公立高校入試の得点開示は適当過ぎる

 公立高校では入試の得点開示が行われますので、合格しても不合格でも自分が何点を取ったかがわかります。入試は相対的なものですから、何点を取らないといけないのではなく、人よりも高い得点を取らないといけません。そして、公立高校は定員以上の合格者数は出ませんから、定員の中に入ればいいわけですよ。合格したら自分が何点取っていようがそれほど気にはなりませんが、しっかりと受験勉強を続けてきた生徒にとっては何点取れたのかはたいへん気になるところではないでしょうか。高校入学後のことも考えれば入試の得点はしっかりと認識しておきたいものです。しかし、この入試の得点は合格者よりも不合格者にとって貴重な情報であると思います。不合格者はどうして自分が不合格なのかを知りたいはずです。どの教科がダメで不合格だったのか…、合格点に何点足りなかったのか…。不合格者の頭ん中はこういう思いが渦巻くのですよね。

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 しかし、残念なことにこの開示方法は万全ではありません。とにかく中途半端なのですよね。まずダメなところが、合格発表の日に開示されないという点です。奈良の場合はだいたい合格発表の翌日に設定する高校が多いですね。高校によっては1週間ほど経過してからとうところもあります。合格者にとっては別の日に設定されてもいいですよ。何度も学校へ行く機会もあるし、そもそもうれしいですからね。でも、不合格者にとってはどうでしょうか…また足を運ばせるのですよ。不合格になった高校へ何度も行きたくはありません。一晩経過して、いったん落ち着いたはずの気持ちがまた揺れ始めるのですよ。そして、開示請求のために高校へ行けば、合格した生徒も来ているわけでしょ。楽しそうに得点を見ている生徒を目の当たりにするのはつらいというよりは腹が立ちますよね。(もちろん、人生ではそんなことを何度も経験しますけどね)高校はあえてそういうことを経験させようとしているのでしょうか…。まあ、そんなはずはありませんよね。仕事として開示請求に対応しているだけで生徒のことなど全く考えていないのですよ。不合格者の気持ちなどどうでもいいわけですよ。それが、このやり方に現れていると思います。だいたい、点数の書いた紙を一枚用意するだけですよ。コンピューターの発達した今の時代なら朝飯前でしょ。試験から発表までは、丸5日はあるのですからね。ミスの無いように慎重に仕事をしても紙切れ一枚準備するのは仕事というほどでもないのです。少し意識するだけでできるはずですよ。どうしてもできないのであれば、せめて不合格者へは郵送して欲しいものですよね。

 

 そして、もう一つの問題点は、この得点開示でわかるのは自分の得点だけということです。B6ほどの紙に各科目の自分の得点と合計点が記されているだけです。合格最低点は書かれていないのです。ということは、自分の得点はわかっても、何点足りないのかはわからないのですよね。1点なのか2点なのかあるいは20点も30点も足りないのかがまったくわかりません。自分の知っている生徒から得点を聞き出し合格ラインを推定しないといけないのです。これは無理です。本当にわかりませんよ。塾の先生に相談してもわからないものはわかりません。合格者はそれでもいいですよ。不合格者は具体的な情報が欲しいはずです。そして、きっちりと反省し次の勉強に活かしたいと思っているのですよ。こういうところを見ても、この得点開示が生徒のためを思ってやっているとは思えないのですよね。「決まり事だからやっています」「やることになっているのでやっています」という感じに思えるのですよ。もちろん、一教員はそこまで考える余裕もないでしょうし責任はないでしょう。しかし、管理職の先生はこういうことに無頓着ではダメだと思います。学校にとっては、生徒の出入りに関する行事ほど大切なものはありません。その行事を大切なものとして位置づけられないようでは学校ではないでしょう。

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